相続税の申告が不要なのか必要なのかをざっくり判断する方法は?

相続税はお金持ちが払うものであって、我が家には無関係だとお考えの方も多いと思います。
ただ、近年の税法の改正によって、相続税が発生する方が格段に増えていますので、
相続開始の前か後かにかかわらず、相続税の申告が不要なのか必要なのかを一度確認することをお勧めします。

無関係と思っていたら税務署からお尋ね書が届いて、
時すでに遅し。。。といったことも良くあります。

また、相続税のお尋ねが届くのは死亡半年以上経った後になりますので、
お尋ねが届いたら申告すればいいやと思っていると、
申告期限の10ヵ月に間に合わなくなってしまいます。
そもそも申告義務があってもお尋ねが来ない場合もあります。
なお、期限が近い場合、追加報酬を取っている税理士も多いです。

財産がいくらあると申告が必要なのか

財産がいくらあると申告が必要なのか

ざっくり申し上げますと、
相続財産の金額が基礎控除額を超えると相続税の申告が必要になります。
基礎控除額は以下の計算式で算出されます。

基礎控除額 = 3,000万円 +( 600万円 × 法定相続人の数  )

例えば、法定相続人が1人なら3,600万円、2人なら4,200万円ということになります。
ざっくりとご自身の申告の要否についてイメージを持てましたでしょうか。

ただ、ここで注意が必要なのは、
相続税の計算上、「相続財産の金額」は、課税価格と言いますが、
これは皆様がイメージされている財産の金額とは少なからず相違があるということです。
つまり、ご自身が思っているよりも財産の金額が多かったり、少なかったりすることがあるのです。
以下その点についていくつか具体例を挙げて解説したいと思います。

不動産の相続税評価額は取引価格とは異なる

不動産の相続税評価額は取引価格とは異なる

銀行普通預金1,000万円は、課税価格の計算上も1,000万円です。
わかりやすいですね。
不動産はどうでしょうか。
結論としては、
課税価格に計上する不動産評価額を算出する一定のルールがあって、
ざっくりですが、
時価の6割~8割くらいになります。
また、不動産のうち、土地の評価に関しては、
「小規模宅地等の特例」があって、
さらに減額が出来る場合があります。

なお、この「小規模宅地等の特例」を適用する場合には、
課税価格が基礎控除以下となっても申告が必要となります。
※話しが複雑になってしまいますので、小規模宅地等の特例の詳細は、
別記事で解説したいと思います。

予期せず相続財産になるものの例

思いがけず相続財産になるものとしては、
例えば以下のようなものがあります。

生命保険金
死亡した被相続人が保険料を支払っていた保険契約で、
被相続人の死亡によって支払われる保険金。

・死亡退職金
死亡した被相続人の死亡によって支払われる退職金で、
被相続人の死後3年以内に支給が確定したもの
なお、これらには 、500万円×法定相続人の数の非課税枠があります。
また、相続人が知らない契約や支給があることも多いので、
申告の要否を検討する際には注意が必要です。

・相続時精算課税制度を利用した過去の贈与
「相続時精算課税制度」とは、贈与を受けた者が2,500万円まで贈与税を納めずに贈与を受けることができ、贈与をした者が亡くなった時に、相続税として納税する制度です。

・相続開始前3年以内の贈与財産
相続開始前3年以内に、相続人が被相続人から贈与された財産です。
これらについては、ご自身が贈与を受けていなくても、他の相続人が実は贈与を受けている、
といったこともありますので注意が必要です。

相続財産から減額できるものの例

逆に相続財産の金額から減額できるものもあります。

・借入金
・未払いの医療費・水道光熱費(死亡後に支払ったもの)
・葬式費用のうち一部のもの


このように相続財産から減額できるものがありますが、
その範囲、金額などは判断が難しいところですので、
ご自身で申告の要否を検討する際には保守的に、考えた方が無難でしょう。

まとめ

相続税の申告が必要かどうかをざっくり判断する方法について、解説しました。
ご覧いただいた通り、
判断が難しい部分が多々あります。
もちろん記載した以外にも注意が必要な事項はございます。
万が一、申告が必要にもかかわらず、不要と判断してしまえば、
無申告加算税や延滞税といったペナルティも発生してしまいます。

したがいまして、
相続税の申告の要否については、相続人ご自身が判断されずに、
税理士に相談されるのが安全かと思います。
申告が不要であっても、
不動産の相続登記は、金融資産の名義変更等、
相続が発生する際は、申告以外の手続きに関しても面倒な事が多いので、
これら相続関連の手続きに不安がある場合は、
まずは税理士にご相談されるのが良いかと思います。

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