相続税の申告は一生に何度も経験する事ではありませんよね。
当然、相続税を依頼する税理士の選び方なんて考えた事も無いと思います。
ご葬儀だけでも心身ともに大変なのに、わからないことだらけの相続や相続税の申告を依頼できる税理士を見つける方法なんてわからないですよね。

相続は相続を専門にしている相続に強い税理士に頼んだ方が良いという話は聞いたことがある方もいらっしゃるかもしません。
昨今では、相続専門を謳っている税理士事務所は急激に増えているようです。

その中から本当に相続に強い税理士を選ぶにはどのような判断基準があるのでしょうか。
また、大手の税理士事務所が良いのでしょうか?
いつまでに相続税の申告の依頼をすれば良いのでしょうか?
地元の税理士の方が良いのでしょうか?
そもそも自分で相続税の申告を行うことはできないのでしょうか?
いざ税理士を選ぶとなると様々な疑問が生じるものです。

選ぶ事が面倒になってしまい、ついつい良く検討せずに、葬儀社や金融機関から紹介された税理士や、知り合いの税理士に頼んでしまうケースが多いです。
ただ、相続税の申告は、税理士の選び方を間違えてしまうことで、何百万、何千万円の損をしてしまうことがあるのです。

そこで、今回はこの記事をご覧いただいている皆様が税理士選びに失敗しないように、相続専門税理士である私が、通常語られることの無い業界の事情も交えつつ、相続税の申告を依頼する税理士の「本当の」選び方について解説していきたいと思います。

相続に強い税理士の選び方6選

ほとんどの方は相続や相続税についてなじみが無いと思います。
なじみの無い事を依頼するわけですから、選び方なんてわからないですよね。

相続に強く、信頼できる税理士を選ぶことができる基準を6つご紹介いたしますので、税理士事務所のHPを閲覧される際や、実際に税理士とご面談をされる際のご参考になさってください。

相続専門の税理士であること

相続税の申告は絶対に相続専門の税理士に依頼するべきです。
税理士には専門分野があり、良く医師に例えられます。
例えば、内科や精神科の先生に命の危険がある高度な外科手術を依頼したいと思う方はいないと思います。
医療というものは高度に細分化、専門化がされており、それぞれの分野において身につけなければならない知識や技術が膨大になっており、1人の医師が複数の専門性を身につけるということが不可能になっています。

税務においてもこれと同様のことが言えるのです。
相続という領域だけでも膨大な知識や経験が要求されるのです。また、毎年のように税制改正があり、専門性を維持していくことは大変なことです。相続以外の税目にも時間を割きながら相続の専門性を維持していくということは困難な事なのです。

本当に相続専門の税理士であること

「本当に」とはどういうことかをご説明いたします。
最近では相続専門を謳っている税理士事務所が増えてきていますが、はたして本当に相続に対して専門性を有している税理士事務所が急増しているのでしょうか。

国税庁が公表している年間の相続税申告件数を税理士の数で割ると、1人の税理士が1年間に経験する相続税の申告件数は平均で1,2件という計算になります。
近年この件数が急激に増加しているということはありませんので、
相続専門ではない一般の税理士事務所が、急激に相続税の申告件数の受注を増やし、相続の経験を積み上げ、相続専門の税理士事務所になるということは、考えにくいです。

つまり、相続専門を謳っている税理士事務所の中には、相続税の報酬が他の税目に比べて比較的高額であることに目を付け、それほど経験が無かったり、あるいは、実際には法人税など他の税目を扱っている中で片手間に相続税を扱っているにもかかわらず、相続専門を謳っているような税理士事務所も多いのです。
試しにその税理士事務所の代表税理士の名前でウェブ検索をしてみてください。相続専門を謳っているウェブサイトとは別に、その他の業務を扱っているウェブサイトが出てくることがあるのです。

適正報酬であること。報酬の相談ができること

相続税申告の税理士報酬の相場は、概ね遺産総額の0.5%から1%と言われています。この場合の遺産総額は、財産評価額を減額できる特例や非課税、債務控除を考慮する前の金額です。
例えば、遺産総額が1億円であれば、50万円から100万円が概ね適正な報酬であると言えるということになります。
ウェブサイトに料金表を公開している税理士事務所も多くなっていますので、まずはその報酬がこの範囲におさまっているかどうか確認してみてください。

なお、遺産総額に応じた料金表やオプション料金の一覧表などによってあらかじめ料金総額が明確になっていることは、依頼者にとっては有益なことです。
最近ではそういった税理士事務所が増えているようです。
ただ、相続は2つとして同じ相続というものはありません。遺産総額が同じで、かつ加算されるオプションが同じで、したがって、報酬が同額になる相続であっても、その財産の内訳はさまざまですし、相続人の状況も全く同じということはありえません。
料金表やオプション一覧によって、ある程度は難易度に応じた適正な報酬を算出することは可能であるし、あらかじめ明確に算出されることは有益ではありますが、必ずしも本当に個々の状況に応じた適正な報酬になっているとは限りません。

実際に、私が相続専門の税理士法人にて勤務していた頃の実感としても、報酬をもらいすぎと感じるお客様もいれば、逆に、報酬が安すぎてその案件単独では採算が取れていないようなお客様もいました。
いずれにしてもそのような状況はお客様の不利益になる事ですので、しゃくし定規に料金表だけで機械的に報酬を算出するのではなく、料金表、オプション表をベースにしつつも、お客様ごとの状況や要望を加味してオーダーメイドで見積もった金額が、本当に適正な報酬と言えると思います。
当事務所では、ご契約の前に無料でお見積もりを行っています。もちろん料金表をベースにしつつも、個々のお客様の状況を加味して適正な報酬を算出しご提示させていただいております。

本当に適正報酬であること

上記のとおり、遺産総額が1億円であれば、個々の状況に応じて算出された報酬が50万円から100万円であれば概ね適正と言えると思います。
とは言え、50万円と100万円ではだいぶ開きがありますので、両者を等しく適正と言ってしまうのは、ちょっと大雑把な話ではあります。
50万円の報酬の税理士事務所と100万円の報酬の税理士事務所の違いは何でしょうか。
もちろん金額だけで見れば、品質を疑うほど安すぎたり、逆に不必要な作業を付加して高額な報酬を取っていることが疑われるような金額ではなく、両方とも適正な範囲ではあるのです。

結論としては、報酬の金額だけではその違いはわからないということです。50万円の事務所と100万円の事務所が同じ品質、サービスであったりするのです。あるいは、逆転してしまうこともあるでしょう。
どうしてそのような事になるのでしょうか?
例えば、事務所の立地や税理士の質などはある程度その価値が目に見えるものですが、申告書の品質であったり、顧客対応のレベルといった点はなかなか表に出てくることはありません。
相続税の依頼者の中に、5回目、10回目の依頼という方はいません。
相続を経験するのは一生でも1回、2回のことですので、当然です。したがって、税理士が選定される際には、申告書の品質であったり、顧客対応のレベルといった、その税理士を一度経験していないと詳細がわからないような評価要素が考慮されないという特徴があります。
観光地の一見さんをターゲットにした飲食店の質と価格を想像していただくとわかりやすいと思います。

申告の品質やサービスのレベルに応じた適切な価格設定が行われず、報酬額が高止まりしているような税理士事務所が多いのです。

私はかつて業務改善のITコンサルタントをしていた時期があります。
この業界を客観的に見た感想としては、イメージ通りやはり税理士は真面目で品質には絶対的な責任感を持っている方が多いです。
ただ一方で、コストに対する意識や業務の効率化に対しては無関心であると言わざるを得ません。
業務の非効率によって生じる余計なコストは報酬に転嫁されてしまいます。余計なコストが転嫁されて割高になってしまっている報酬であるにもかかわらず、「大手だから」とか「報酬が高い方がなんとなく安心」という理由で依頼してしまう方が多く、やるせない思いがします。

現代では業務の効率化はITに依存する部分が非常に大きくなっています。一般的に税理士はITに弱いというイメージがありますが、これは残念ながらまぎれもなく事実です。個々の税理士に対してITに強いことを期待することは難しいので、少なくとも事務所としてITに力を入れているのかどうかをウェブサイトやパンフレットなどから読み取るようにしてみましょう。

長くつきあえること

二次相続という言葉はご存じでしょうか。
父母のいずれかが先に亡くなった場合、つまり1回目の相続を一次相続といいます。そして、その後にもう一方の父母が亡くなった場合の相続を二次相続といいます。
一次相続の申告を依頼した税理士に二次相続の申告を依頼したいと思いませんか?もちろん一次相続の際にその税理士に不満があれば二次相続の際に税理士を変更するのも悪くはありません。
しかし、一次相続と二次相続は親族関係や財産内容に共通点が多いので、同じ税理士であればスムーズに申告を進めることが出来ます。
また、申告が終わった後にも、万が一の税務調査の対応であったり、相続した財産に関する相談など、税理士に相談をしたい機会があるものです。
したがって、長く付き合うことが出来る税理士に依頼することをおすすめします。

長く付き合うためには、一次相続のタイミングである程度若い税理士さんが良いと思います。二次相続のタイミングでも現役の税理士である可能性が高いでしょう。
長く付き合うために、地元の税理士が良いと考えるか、遠方の税理士が良いと考えるかは個々に考え方があると思います。ご自身にとって適切な距離感の税理士を検討してみてください。

なお、税理士の80%は開業税理士と言われています。税理士事務所の代表税理士ではなく、所属している立場の税理士はいずれ独立開業してしまう可能性が高いと言えます。
特に、大手の相続専門の税理士事務所においては離職率がかなり高くなっており、申告から2,3年後の税務調査の際には、当時の担当者が退職しているということが普通といっても過言ではありません。

相続は申告が終わってからも税理士に頼る機会があります。長く付き合える税理士を選ぶようにしましょう。

事業拡大中や新規事業の開発中ではないこと

税理士業界に限った話ではありませんが、事業の拡大中や新規事業の開発中は一般的に、人材難になりやすいです。ただでさえ税理士業界は人材不足が顕著です。
事業の拡大や新規事業の立ち上げのために増大した固定費の回収を急ぎたいという意識が働くため、受注する案件数を無理に増やしてしまいがちです。
当然、担当者1人1人の負担は増大し、品質を維持することが難しくなってしまいます。前述のとおり真面目な税理士が多いので、品質を第一に考え、時にはサービス残業をしながら品質の維持に務めることでしょう。
一時的には解決できても長期的にそのような対応で品質を維持できるかというと、なかなか現実的ではありません。

大手の税理士事務所が安心なのか?

一般的に大手の税理士事務所は離職率が高く、将来の税務調査の対応の際には担当者が代わってしまっている可能性が高いということは前述したとおりです。
また、大手の税理士事務所の場合、遺産規模によっては税理士資格を持っていない職員であったり、まだそれほど件数をこなしていない税理士が担当者になることがあります。
もちろん税理士ではなくても、税理士と同等の知識や経験を有する担当者であったり、組織としてバックアップすることで一定の品質は保つ努力はしているはずです。
しかし、苦労して取得した税理士資格には重みがあり、税理士を名乗るということには自然と責任感や正義感をともなうものなのです。

葬儀社さんや金融機関さんから提携の大手の税理士事務所を提案されることもあるでしょう。
通常、こういった場合に税理士事務所は、依頼者から受け取った報酬から紹介者である葬儀社や金融機関に10%から30%程度の紹介手数料を支払っています。
依頼者が葬儀社や金融機関からそれに見合うバックアップを受けられるのであれば損はしないと思いますが。通常、税理士との契約後は税理士と直接申告を進めていくことになりますので、依頼者にとっては無駄な出費になってしまうのです。
なお、これらの紹介者を通さずに、直接大手の税理士事務所に依頼した場合であっても、この手数料分を料金表から割引にするということは通常行っていないものと思われます。
なぜなら、そのようにしてしまうと提携の葬儀社や金融機関がせっかく紹介してくれたお客様が割高になってしまうため、紹介者への手前、割引は出来ないのです。

さらに言うと、基本的には実力のある税理士が独立し、開業しますので、中小の税理士事務所であっても、代表者が自ら対応しているような事務所であれば、むしろ大手の事務所よりも安心が出来るのではないでしょうか。
もちろん前述しました「本当に」相続に強い税理士の選び方に基づいて選んでいただいた税理士であることが前提となります。

相続税の申告を自分で行うことができるのか

ここまでは、相続税の申告を依頼する税理士の選び方を解説してきましたが、
そもそもの話として、相続税の申告は自分で行うことはできるのでしょうか。
自分で行えば決して安くはない税理士報酬を払わなくて良いわけですから、その方が得なのではと一度は考えることが自然でしょう。
しかし、相続税の申告を相続専門の税理士に依頼せずに自分で行うことは全くおすすめ出来ません。
その理由としては、以下のようなデメリットがあるからです。

・税務調査が入る可能性が高くなる

税務署には全ての申告書を綿密に調査するだけのマンパワーはありません。
まず財産の見落としや計算のミスなどがありそうな申告書にあたりを付け、その後に詳細な調査を行うといった方法を取るのです。税理士の署名が入っている申告書と相続人本人が作成した申告書とでは、どうしても後者の方が疑われてしまうのです。

・相続税額が高くなる可能性がある

相続税には相続税額が安くなる様々な特例が用意されています。
相続専門ではない税理士でさえ、これらの一部を見落としてしまい相続税が高めに計算されてしまうことがあるくらいですので、
自分で計算した場合には、なおさら相続税額が高くなってしまう可能性が高いのです。

・相続税の申告までに時間がかかってしまう

相続税の申告は亡くなった日から10か月以内に行わなければなりません。長いように感じるかもしれませんが、申告までに行わなければならない調査や手続きは多岐にわたるため、相続専門の税理士であっても、着手から5か月間前後はかかることが一般的です。おそらく相続税の申告の経験がないであろう相続人が自ら申告を行う場合はそれ以上に時間がかかってしまっても不思議ではありません。
最悪の場合は、申告期限に間に合わなくなってしまうかもしれません。

このような理由から相続税の申告はご自身で行うのではなく、相続専門の税理士に依頼されることを強くおすすめいたします。

いつまでに依頼すれば良いか

相続専門の税理士であっても、着手から申告までに5か月間前後はかかってしまうことが一般的です。相続財産の中に土地が多い場合や、分割で揉めてしまいそうであったり、納税資金でお困りのような場合は、さらに時間を要する可能性があるります。したがって、遅くても亡くなってから3,4か月以内のタイミングで依頼するようにしましょう。

地元の税理士に依頼した方が良いか

相続税の申告は長く付き合える税理士に依頼するべきということは前述のとおりです。
一昔前であれば、距離的に近い地元の税理士の方が、頻繁に会うことが出来て安心感があったかもしれません。
しかし、昨今ではメールやWeb会議ソフトの利用など非対面のコミュニケーションに対応している税理士も増えてきています。
また、都心の税理士事務所に依頼すべきなのかという疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
これについても、上記の理由からアクセスの良さや豪華な応接室などの、対面を前提とした場合のメリットは薄れつつあると言えます。むしろそれらのコストが転嫁された報酬を支払うことはデメリットになりつつあると言えるのではないでしょうか。
したがって、地元であるとか都心に事務所をかまえているといった立地条件だけを重視するのではなく、総合的に判断することが重要だと思います。

まとめ

今回は、相続専門の税理士である私が、相続税の申告を依頼する税理士の選び方について解説させていただきました。通常語られることの無い業界の事情も交えつつ、本音で語らせていただきました。相続税の申告は依頼する税理士の選び方によっては、大きな損をしてしまう可能性があるものです。
今回の解説を参考にいくつかの税理士事務所をピックアップし、初回相談や見積もりを依頼されることをおすすめいたします。
その際は高品質・低料金に絶対の自信を持つ当事務所も候補に含めていただけますと幸いです。
初回相談は無料でうけたまわっておりますので、まずはぜひお問い合わせください。全国どこからでもご対応いたします。

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