テレワークを導入している税理士事務所、会計事務所は増えてきているという話は耳にしますが、
まだまだ出社しなければならない業務が多く、完全にテレワークというわけにはいかないという事務所が多いのではないでしょうか。
税理士事務所の職員が特に税務において完全テレワークを目指す方法を考えてみます。
税理士事務所をとりまくテレワーク推進の流れ
コロナ禍においていかに社会の要請にしたがい、外出を控えるかというのは、
当然税理士の業界においても喫緊の課題となっています。
電子申告、Zoomなどのオンラインテレビ会議ソフト、ファイル共有・会計ソフトのクラウド化など、テレワークで業務を行うためのルールやツールは近年急速に整ってきています。
税理士法の取り扱い
税理士及び税理士事務所が守らなければならないルールとして税理士法があります。
その中で、テレワークに関連する規定として、2か所事務所の禁止(第40条3項)と使用人等に対する監督義務(第41条の2)があります。
したがって、そもそもテレワーク、つまり在宅で業務を行うことが税理士法に抵触しないかという問題があります。
その点、日本税理士会連合会が税理士専用のページの中でFAQとしてまとめています。
日本税理士会連合会の見解は概ねテレワークを推奨する内容となっており、
まず、臨時的に自宅で税理士業務(の補助)を行うことは、2か所事務所の禁止に抵触しないものとしています。
また、監督義務が置かれた趣旨は、使用人等が税理士業務を行う、いわゆる「にせ税理士行為」を防ぐことですが、
これはテレワークにおいても、次のような管理を行うことによって履行が可能としています。
・出退勤や業務記録(ログ)の保存・確認
・使用人等の単独での申告事務や、税務書類の印刷などの制限
・新規顧客登録事務の制限
テレワーク推進にはペーパレス推進が必要
Zoomなどでオンラインによる会議、お客様との面談ができるようになったとは言え、
その際に使う資料が紙媒体だと、事前に印刷、郵送などが必要になるでしょう。
ただ、上記の税理士法の縛りから、印刷は事務所でしか行えない運用にしている事務所が多いでしょうから、結局、事務所への出社が発生してしまいます。
クラウド上でのファイル共有にしても当然、資料が電子媒体で存在していることが前提となります。
また、電子申告を行う際に、添付書類も電子で送信することができます(ファイルのサイズなどの制限はあります)が、添付書類は郵送するという場合は、出社の必要が生じるでしょう。
このように、テレワークを行うためのルール、ツールは整ってきていますが、
それらを活用しテレワーク日数を最大限にしていくにはペーパレスの推進がかかせないと言えるでしょう。
ペーパレス推進の方法
ペーパレスの取り組み自体は、
印刷コストや保管スペース・コストの削減の観点から以前より取り組んでいる事務所も多いと思います。
さらなるペーパレスを推進し、完全テレワークを目指すために取り組むべきポイントは以下のとおりです。
紙で受け取らない
電子媒体でもらえるものは電子媒体でもらう。
スキャンの手間がかかりませんし、郵便物の受け取りのために出社するなんてことも必要ありません。
また、紙媒体の書類であっても、お客様に写真を撮っていただいて、メール添付で送っていただくというのも一つの手だと思います。
書類の量にもよりますが、郵送の手間を考えればお客様にとっても手間が減ることもあるでしょう。
紙で受け取った書類は直ちにまとめてスキャンする
在宅で業務を行っている時に共有フォルダに電子媒体が無いと、スキャンのために出社する必要があります。
出社のコストを考えれば、明らかに不要なものをのぞいて最初からまとめてスキャンしてしまった方が効率的と言えるでしょう。
効率的なスキャンの方法については以下の記事を参照ください。
PDFの編集に慣れる
ここが一番重要なポイントです。
上記の税理士法の縛りから 、自宅で電子媒体の資料を印刷し手書きで加工するということは出来ないと思います。また、手書きで加工してしまうと、それを何らかのテレワークツールで利用したり、電子で申告していくためには、当然またそれをスキャンする必要があります。
したがって、効率を考えると自宅で加工等の作業をする場合、電子媒体のまま行う必要があります。
ただ、PDFでの編集はこれまでほとんどやったことが無いという方も多いのではないでしょうか。
具体的に必ず必要となる操作は次のようなものがあります。
・PDFへの変換
電子申告の際に添付できるファイル形式はPDFに限定されていますので、必須の操作と言えます。
ワードやエクセルなどで作成した書類もPDFに変換する必要があります。
・PDFファイルの結合、並び替え
書類がバラバラのPDFファイルで存在していると閲覧性が良くありません。
複数のファイルを結合し、見やすいように並び替える必要があります。
・注書きなど文字の書き込み
税務の添付書類に補足情報を書き込んだり、チェック者がチェックを行う際にコメントを入れる必要がありますので、こちらも必須の操作と言えます。
・外部ディスプレイなどの機器を利用する
数字のチェックをする際など、同時に複数の書類を閲覧する必要がある場合には、
会社から支給されているノートパソコン一台だけではなかなか難しいのではないでしょうか。
まとめ
税理士事務所においてもテレワークを行えるルール、ツールは整ってきています。
これらを使いつつ、テレワークの割合をさらに増やすポイントは、
いかにペーパレスを推進できるかというところだと思います。
テレワークを増やしたいが、なかなかうまくいっていないという場合はペーパレスが推進できているか見直してみてください。
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